ブッシュ孝子詩集『白い木馬』全篇



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旅立ち

名も知らぬ異国の港町にて

雑踏

廃屋

まあちゃん

夢の中の少年

せんせい私に教えてください

美しい言葉が次々に浮かび出て

夢の中で(1)

夢の中で(2)

この町はきらい

今日の私は酔っ払っている

人生

おばあちゃんがコスモスをつむ

たより

もしも私が死んだら

先生私の病気を

母に

かわいそうな私の身体(からだ)

汽車が都会に近づくにつれて

ファーラーさん

都会

新米の詩人へ

小さな詩

昔語り

赤いガーネットのロザリオを首にかけよう

わたし

私に

神様あなたは私の怠けぐせをなげかれて

折れたバラ

あなたに

みなさんどうぞ私を守ってください

日曜日

メルヒュン

文化生活

神様のお顔

愛ということば

私には愛について語ることなどはできない

かわいそうなたかこちゃん

みなさんもしもあなた達が

あやまち

Hospital of the National Cancer Center

マールブルグの少年

青い目の(日本)人

ジギーとクリステル

おばあちゃん今夜は二人でコーヒーいれて

おばあちゃんのいびき

私の身体はモルモットみたい

シャンソン

私の空

この道はどこへ行く道

ハイデルベルグ

らせん階段

九月の一日

マルセーユの歌

赤や黄色や緑の車をつらねたおもちゃのような汽車が

追いかけっこ

高い空の上で一点の黒い鳥が

暗やみの中で一人枕をぬらす夜は

家にもどる道がどうしてもわからなくて

九月の庭は色とりどりの思い出で

私の身体が痛みと闘っている時は

秋もさかりのこんな一日は

誰でも人は自分の奥深く

死ぬのがこわくないといえば

ものさし

口にも出せずに涙も見せずに

周郷先生とあってきた日

凡人なる凡人は

この私ですら耐えがたい

一陣の強い風がぶどうの枯葉を吹きとばし

昔こわい夢に驚いて夜中に目が覚めると

S先生に

パリからの電話

ゆきんこが遠い国から

戦いは戦場ばかりではない

ああローソク

可哀そうな人ばかり




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