「誰でも人は自分の奥深く」




誰でも人は自分の奥深く

暗くよどんだ泉をもっている

いつか人はそれをのぞきこむけれど

水面にゆれる自分の顔におどろき

もう二度と近づこうとはしない


それでも時々 その泉のまわりに


恐れながらもさまよう人がいる

泉の中にもっと広い世界が

広がる予感にうちふるえながら


それは お前のやってきた世界か

それは お前のもどっていく世界か


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