「名も知らぬ異国の港町にて」




正午(まひる)の陽光が家々の白かべにてりかえり

アーチ型の窓には色とりどりの鉢植えの花

風さわぐ坂の上に立てば眼下には

激しい青さで海がたゆとう

黄色くかわいた海沿いの通りから

陽気な人々のざわめきが立ちのぼる



ああ このまぶしさ この限りない明るさの中で

ふと心にわきあがる淋しさは何



ここにも私の故郷(ふるさと)はない

ここにも私の故郷はない



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